痛みと症状


よくある症状と疾患


頭・首の症状

肩・上肢(腕・肘・手)の症状

胸・背中・お腹・わき腹の症状

腰・臀部の症状

下肢(股・太腿・膝・下腿・足首・足)の症状

下肢の症状


股関節やその周囲が痛い

足のつけ根には股関節があります。股関節とその周囲は肩と同じように動きが大きく体重もかかるため、関節や周囲の筋肉や組織が硬くなりやすく、 よく痛める部位です。症状が足のつけ根の部分的な痛みで、運動のしすぎや無理な動作があった場合は股関節や周囲の組織のケガであることが多いです。 股関節の大腿骨側は特に様々な要因の影響を受けやすく中高年齢層の変形性股関節症も多くみられ、やはり股関節の痛みや動きが悪くなる症状です。 また大腿骨頚部(ふとももの骨の股関節側)はその構造上、負担が大きく骨折を起こしやすい部分です。特に高齢者や骨粗鬆症の方は転んだり、 ちょっとした衝撃で骨折することも多く、そのような状況の後で痛みが出た時は例え軽くて歩けるくらいの場合でも我慢せずに受診してください。
股関節の病気としてはペルテス病(股関節が変形してしまう病気・股関節に痛みがあり動きが悪くなる、歩き方がおかしいような症状) や単純性股関節炎(子供(特に男児)の股関節が炎症を起こし痛む・風邪や微熱を伴うことが多い)、大腿骨頭すべり症(子供(特に肥満や運動過剰 )の成長期に股関節が変形してしまう病気)、臼蓋形成不全症(先天的に股関節の形状がゆるく痛みや動きが悪い症状・女性に多く30歳以降くらい から症状が出やすい)、大腿骨頭壊死(何らかの原因で骨が壊死してしまう病気・症状のない場合もあるが動きが悪くなることが多い・アルコール多飲や 糖尿病・動脈硬化にも多い)などが考えられます。特に子供の場合は成長に影響することが多いので早めに受診をしてください。

坐骨神経痛

足のつけ根(お尻側)には腰椎から出て下肢に向かう坐骨神経が通っています。何らかの原因で坐骨神経が刺激されて腰から足(特にお尻の横から ふとももの後側を通って足の裏・指先)に痛みや痺れ、感覚異常などの症状が出ます。年齢や性別に特徴はなく、長時間同じ姿勢で仕事をしたり腰から 下肢をよく使うような仕事の方に多く見られます。腰椎椎間板ヘルニアや臀部の筋肉の緊張などが主な原因で、疲労や冷えなどによっても悪化します。

足が痺れる

腰から足にかけてのどこかの部分で神経や血管が圧迫されていることが多いです。神経では正座をして足が痺れるような症状、血管では足先が冷たく 痛みを伴う症状が見られますが、相互に関連しているので両方の症状が出るのが普通です。腰から足の症状では腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、 坐骨神経痛、筋肉の過緊張・疲労などが原因となっていることがあります。
高齢者や腎臓・肝臓の疾患、血管・リンパの循環障害のある方はむくみや浮腫で痺れ・痛みが出たり、血行障害(バージャー病・閉塞性動脈硬化症・ 静脈瘤)のこともあります。足だけでなく手や腕などにも痺れが出る場合は脳梗塞や脊髄疾患、内分泌・代謝疾患などのこともあるので精査が必要です。

歩くと足が痛くなる

歩くと足に痛みや痺れが出て少し休むと収まるというような症状では、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、血行・循環障害などの病気の 場合と筋肉が弱くなっていたり、使いすぎや疲労、体重の負担が大きいなどの場合があります。また、歩き始めや立ち上がり、階段の上り下りなど で痛む場合は、加齢による関節や骨の変形などのことが多く見られます。足の指のつけ根や足の裏の痛みは外反母趾や足部アーチ障害、負荷による 神経の圧迫など、踵の痛みは負担のかかりすぎや骨の変形、子供(特に運動をしている)では成長痛の一種の原因などが考えられます。

太腿が痛い・張る

太腿は大きく分けて前側と後側、内側と外側の筋肉がそれぞれ協力して働いています。体重を支えて歩いたりする非常に力が強い筋肉なので 使いすぎやケガなどでバランスが崩れたり弱ったりすると、負担がかかった部分に痛みやケガ(肉離れなど)が起こりやすくなっています。 特に後側や内側を痛めやすいです。また筋肉や腱の柔軟性がなくなり硬くなると膝や腰などにも影響が出やすくなります。
他には腰や骨盤で神経や血管が圧迫されると関係する部分に痛みや痺れがでることもあり、坐骨神経では後側、大腿神経では前側や内側、外側 大腿皮神経(骨盤の外側・腰でベルトを巻く部分)では外側に症状が出ます。

膝が痛い

膝は常に体重がかかる部位で運動による負荷も大きいのでとても症状が出やすい場所です。特に激しいスポーツなどでは靭帯や関節をケガしや すく、しっかりとリハビリを行わないと症状が長く残ったり、他の部位に影響が出てきたりします。
ケガ以外では、高齢者では変形性膝関節症(膝の骨が変形してしまう・骨粗鬆症や加齢が主な原因)が多く、始めは立ち上がりや歩き始めに痛みが 出ることが多く、変形が進むと正座や階段昇降がつらくなります。特に膝の内側や外側に痛みが出やすく、O脚やX脚に変形します。 若年層ではオスグッド病(成長痛の一種・特にスポーツ時に膝の下に痛みが出る)やジャンパー膝(スポーツをする人に多く、特に跳んだり 走ったりすると膝のお皿の周りに痛みが出る)、分裂膝蓋骨(先天的に膝蓋骨が分かれていて運動などで痛みが出る)などがあります。 他には棚障害(関節を包んでいる袋が骨と骨の間に挟みこまれて痛みが出る、内側に多い)や鵞足炎・腸勁靭帯炎(太腿からの筋肉がついている 骨の部分が炎症を起こして痛む、膝の内側・外側)などがあります。
子供〜青年層で特に膝や膝の上下の骨が痛む(徐々に悪くなっていく、寝ていても痛みがある)のような症状がある場合は、念のために病院で検査を した方がよいです。多くはありませんが骨肉腫などの腫瘍や他の病気の可能性もあります。

すねが痛い

ジャンプやダッシュ、長距離走などのスポーツや足に繰り返し負担のかかる仕事をしている方に多く、運動時にすねの下の方に痛みが出る症状は シンスプリント(足の筋肉が骨についている部分が刺激を受けて炎症を起こしている状態)といいそのまま放置すると疲労骨折を起こすこともあります。
すねの外側には腓骨神経が通っていて、この部分が圧迫されると外側から足の甲にかけて痛みや痺れが出ます。また、ふくらはぎやすねの筋肉は 太いためケガや使いすぎで腫れると圧力が非常に高くなって血管や神経を圧迫してしまうコンパートメント症候群という症状もあります。すねや ふくらはぎのケガの後や足を使いすぎている場合に起こり、下腿がパンパンに腫れて痛みがひどく、何をしても痛みが引かなかったり痺れや冷感 などがある場合は注意が必要です。

ふくらはぎが痛い・張る

ふくらはぎの筋肉は硬くなっていると攣縮(いわゆるつった状態)して痛みが出やすいです。筋肉はアキレス腱につながっているので、 痛みがアキレス腱やかかとに出ることもあります。筋肉は無理をしたり冷えたりすると硬くなりやすく、硬くなっている状態で急な動きをすると 筋肉や腱を断裂する場合もあります。筋肉が傷つくと腫れや痛みが出て、触ると痛い筋硬結(しこり)ができることもあります。

アキレス腱が痛い

アキレス腱はふくらはぎの筋肉とつながっていて歩いたり走ったり跳んだりする時に非常に力がかかります。そのため運動のし過ぎや無理が重なると 炎症を起こしたり傷ついたりしてアキレス腱やアキレス腱がつくかかとの骨の部分に腫れや痛みがでることがあります。
結晶誘発性関節炎(痛風など)やかかとの骨の変形(骨棘)でも特にアキレス腱の付け根(かかとのところ)に痛みや腫れが出る場合もあります。

足首が痛い

足首は常に体重がかかる為、捻ったりしてケガをしやすい関節です。特に以前に足首を捻るなどのケガをして靭帯が伸びてしまっている場合などは、 ちょっとした疲労や冷えで痛みや腫れが出ることがあります。加齢や激しいスポーツなどの影響による骨や軟骨の変形も原因になります。手首の腱鞘炎 などと同じように使いすぎによる炎症もよく見られます。長時間歩いたりスポーツをする方に多く、体重がかかったり運動をすると痛みます。
また、足首は狭い部分を血管や神経が通っているのでその影響で痛みや痺れが出る場合があります。足の筋肉などが弱ったり、長時間の立ち仕事やデス クワークなどの影響で足がむくんで圧力が高まって足首やスネ、ふくらはぎ、足の裏などに痛みや違和感が出ることもよくみられますが、むくみは心臓 や腎臓、肝臓などの状態や血液・リンパの循環不全でも出ますので原因をよく調べたほうがよいです。足首や足の裏、指のしびれは足首の問題の 他に脳や腰などが原因の場合もあります。

踵が痛い

かかとは通常は脂肪のクッションと周囲の構造によって衝撃を吸収できるようになっていますが、負荷が強すぎたり衝撃が長期間繰り返し続くこと により、構造のバランスが崩れて歩行時に痛みが出ることがあります。また高齢や過度のスポーツなどではかかとの骨が変形(棘ができる)をして 痛みを引き起こすこともよく見られます。骨粗鬆症や高齢者では足を衝くことによってかかとの骨がつぶれる(圧迫骨折)場合もあり、状況によって は背骨(背中から腰)も一緒に圧迫骨折することがあるので背骨の痛みも確認が必要です。
子供は骨が完全に出来上がっていないので、激しいスポーツなどを行うと炎症を起こして運動時に痛むことがあります。(sever病・小中学生男児に多い) 成人でも過度の負担によって炎症を起こす(足底腱膜炎など)ことも多くみられます。

足の甲・裏が痛い

足はたくさんの小さい骨で構成されていて衝撃を吸収できるように骨、靭帯、筋肉によってアーチ構造を形成しています。その構造の中で特に負担 がかかる部分に痛みや違和感が出ることがあります。そのため立ち仕事やスポーツをする方、ヒールの高い靴や硬い革靴などを履く方に多く見られます。 初期は偏平足や足部アーチ障害など筋肉や靭帯のバランスが過度の負荷で崩れる状態や、それが原因となるウオの目、タコがみられ、その状態が長く 続くと骨の配列が崩れて外反母趾などの足の変形を起こしたり神経や血管を圧迫して痛みや痺れが出たり(足根洞症候群、足根管症候群、morton病など) します。また場合によっては指の根元の骨が疲労骨折を起こしたりします。障害の状態によって痛みの出る場所や症状は異なりますが基本的には歩行や 荷重時に痛みや痺れが出ます。休んでいるときにも長時間痛みが続いたり炎症を起こしている場合、足以外にも痛みや痺れが出ている場合は状態が悪いか、 問題が足の障害だけでないことも考えられます。

足の指のつけ根が痛い

外反母趾(内反小趾)は親指や小指のつけ根に痛みや腫れがあり指の向きが変わってしまう症状です。疲労などで足の骨や筋肉などのバランスが 崩れたり(足部アーチ障害など)、その状態が長く続くと指のつけ根の骨と骨の間で神経が圧迫されたり骨が圧迫されるようになってしまいます。 ひどいときは指のつけ根の骨に疲労骨折を起こすこともあります。基本的には歩行時や荷重時に強い痛みがあり、状態によっては炎症を起こします。
加齢や膠原病(関節リウマチや変形性関節炎)が原因で指の関節が変形したり、関節が腫れて痛みが出ることもあります。急に指のつけ根(特に 親指に多い)がひどく腫れて強い痛みが出る場合は結晶誘発性関節炎(痛風など)の可能性もあります。

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